ロルフィングを受けることにした直接のきっかけは、交通事故に遭ったことでした。
「大丈夫ですか?」と聞かれれば、「もう大丈夫です」と答えられる程度には回復していましたが、今にもはらはらと崩れ落ちてしまいそうな身体をようやく支えているような状態で、大きな衝撃を受けた右半身は、身体の周りの空間を感じにくい状態になっていました。
10回のセッションを通して、二戸部さんは、そんなわたしの身体に根気強く話しかけてくださいました。
今思えば、わたし自身がこの身体とコミュニケーションをとれるよう手助けしてくださっていたような気がします。
バレエやジャイロキネシスを通して、「身体の声を聴く」ということを心がけてはきたつもりでした。
でも、それはあくまでも「わたし」がそれに耳を傾けてあげるという、上下関係に基づいた関係性でした。
ロルフィングを通じて一番変化したのは、その関係性だと思っています。
前まで「身体の声」だったものは動きと一体化していき、「身体の声を聴く」という遠回りをする必要なく、ただ動きだけが存在するような状態になっていきました。
特にセッション2の直後は、片足で立つという動作をするときに、まるで磁石に集まる砂鉄のように身体中の組織がその動作に向かって集まっていくような感じを受けて驚きました。
セッション9では、全身の使いかたが一気に変わり、脳がフリーズしているような不思議な感覚を味わいました。
10セッションを通じて得られたものは、身体的な変化だけではありません。
会社の前の通りにある街路樹のテクスチャや、道端に落ちている木の枝の造形が息をのむほど美しいことに気づき、昨日までそれを素通りしていた自分に愕然としたこともありました。
感覚器、そして自分自身を環境に対してひらいてみると、まるで子どものころのようにたくさんの発見があって、毎日飽きることがありません。
二戸部さんが「軸があれば、どんな環境でもだいじょうぶ」と言ってくださったことがありましたが、二戸部さんのロルフィングは、その深い知恵をわたしの身体が自ら発見できるようにサポートしてくれるものだと感じています。
ロルフィングを受けてわたしが一番感じたのは、これからの人生を生きていくにあたって必要ななにか(たとえば桃太郎のきび団子みたいなもの)が、10セッションのうちにいつの間にか手渡されている(手渡されたのか、元からあったものを発見したのかわからないんですが)ということです。
うまく言えないのですけど、肩こりが改善するとかそういう次元ではなく、なにかもっとずーっと深い次元で変化しているなにかがあるぞ、という確信を持っています。
東京都 Kさん